2008年12月05日

あるレジ打ちの女性/「涙の数だけ大きくなれる」木下晴弘著

購読する ある建設コンサルタント会社の発行するメルマガによい話が載っていたので、
コピペします。「涙の数だけ大きくなれる」は本として出版されていますし、宣伝動画もあるようなので
すでにご存じの方も当然おられるかも知れませんが、ご存じ無い方は読んでみて下さい。
 ちと長文ですが、それなりに感じることもあると思います。

**************************************************************

あるレジ打ちの女性/「涙の数だけ大きくなれる」木下晴弘著(フォレスト出版) から

『その女性は,何をしても続かない人でした。
田舎から東京の大学に来て,部活やサークルに入るのは
良いですが,すぐイヤになって次々と所属を
変えていくような人だったのです。

そんな彼女にも,やがて就職の時期がきました。
最初,彼女はメーカー系の企業に就職します。
しかし3か月もしないうちに,やめてしまいました。
次に選んだ就職先である物流会社も
次に入った医療事務の仕事も,半年ほどでやめてしまいました。

■そんなことを繰り返すうちに彼女の履歴書は,
入社と退社の経歴がズラッと並ぶようになっていました。

すると,そういう内容の履歴書では,
正社員に雇ってくれる会社がなくなってきます。

結局彼女は,派遣会社に登録しました。
ところが派遣も勤まりません。
イヤなことがあればその仕事をやめてしまうのです。
またもや履歴書に派遣の先リストが長々と書かれるようになりました。

■ある日のことです。
新しい仕事先の紹介が届きました。
スーパーでレジを打つ仕事でした。

当時のレジスターは,値段をいちいちキーボードに
撃ち込まなくてはならず,多少はタイピングの訓練を必要とする
仕事でした。
ところが,勤めて1週間もするうち,彼女はレジ打ちに
あきてしまいました。

■彼女は辞表を作ってみたものの,決心をつけかねていました。
するとそこへ,お母さんから電話がかかってきました。
「帰っておいでよ」
受話器の向こうから,お母さんのやさしい声が
聞こえてきました。

■彼女は田舎に帰ることを決め,片づけを始めました。
すると,机の引出しの奥から1冊のノートが出てきました。

小さい頃に書きつづった大切な日記でした。
パラパラとめくっているうち,彼女は
「私はピアニストになりたい」と書かれているページを
発見したのです。

そう,彼女の小学校時代の夢です。
「そうだ,あの頃,私はピアニストになりたくて,
練習をがんばっていたんだ」

「あんなに希望に燃えていた自分が今はどうだろうか。
履歴書には,やめてきた会社がいくつも並ぶだけ。
自分が悪いのはわかっているけど,
なんて情けないんだろう。
そして私は,また今の仕事から逃げようとしている・・・」

そして彼女は日記を閉じ,泣きながらお母さんにこう
電話したのです。

「お母さん,私,もう少しここでがんばる」

■翌日スーパーに出勤した彼女はある考えが浮かびます。

「私は昔,ピアノの練習中に何度も何度も弾き間違えたけど
繰り返し弾いているうちに,どのキーがどこにあるのかを
指が覚えていた。
そうなったら鍵盤を見ずに,楽譜を見るだけで
弾けるようになった。
そうだ,私流にレジ打ちを極めてみよう」

■彼女はまずレジのボタンの配置を頭に叩き込み
あとは打つ練習をしました。
数日のうちに,ものすごいスピードでレジが
打てるようになったのです。

すると不思議なことに,これまで見もしなかったところに
目が行くようになったのです。

まず目に映ったのはお客さんの様子でした。

■「ああ,あのお客さん,昨日も来ていたな」
「ちょうどこの時間になったら,子ども連れで来るんだ」
さらに
「この人は安売りのものを中心に買う」
「この人はいつも店が閉まる間際に来る」
「この人は高いものしか買わない」
とかがわかるのです。

■そんなある日,いつも期限切れ間近の
安いものばかり買うおばあちゃんが,5000円もする
尾頭付きの立派なタイをカゴに入れてレジへ
持ってきたのです。
彼女はびっくりして思わずおばあちゃんに話しかけました。

「今日は何かいいことがあったんですか?
するとおばあちゃんは
「孫がね,水泳の賞を取ったんだよ。
今日はそのお祝いなんだよ。
いいだろう,このタイ」

「いいですね。
おめでとうございます」

■お客さんとコミュニケーションをとることが楽しくなったのは
これがきっかけでした。
いつしか彼女はレジに来るお客さんの顔をすっかり覚えてしまい
名前まで一致するようになりました。

「○○さん,今日はチョコレートですか。
でも今日はあちらにもっと安いチョコレートが出てますよ」
「今日はマグロよりカツオの方がいいわよ」
などと言ってあげるようになったのです。

レジに並んでいたお客さんも応えます。
「いい事言ってくれたわ。
今から変えてくるわ」

■そんなある日のことでした。
「今日はすごく忙しい」と思いながら
彼女はいつものようにお客さんとの会話を楽しみつつ
レジを打っていました。

すると店内放送が響きました。

「本日は込み合いまして大変申し訳ございません。
どうぞ空いているレジにお回りください」
ところが,わずか間をおいて,また放送が入ります。

「本日は込み合いまして大変申し訳ございません。
重ねて申し上げますが,
どうぞ空いているレジにお回りください」

■そして3回目,同じ放送が聞こえた時に
初めて彼女はおかしいと気づき周りを見渡して驚きました。
どうしたことか5つのレジが全部空いているのに,
お客さんは自分のレジにしか並んでいなかったのです。

店長があわてて駆け寄ってきます。
そしてお客さんに
「どうぞ空いているあちらのレジにお回りください」
と言ったその時です。
お客さんは店長の手を振りほどいて,こう言いました。

「放っておいてちょうだい。
私はここに買い物に来てるんじゃない。
あの人としゃべりに来てるんだ。
だからこのレジじゃないとイヤなんだ。」

その瞬間,彼女はワッと泣き崩れました。

■その姿を見てお客さんが店長に言いました。

「そうそう,私たちはこの人と話をするのが楽しみで来てるんだ。
今日の特売はほかのスーパーでもやっているよ。
だけど私は,このお姉さんと話をするために
ここへ来てるんだ。
だからこのレジに並ばせておくれよ」

彼女はポロポロと泣き崩れたまま,レジを
打つことができませんでした。
仕事というのはこれほど素晴らしいものなのだと
初めて気づいたのです。』





■仕事は辛くてやめたいことの方が多いのかもしれません。
しかし,明日やめようと思いながらも
今日頑張れば明日になります。

明日になれば,また明日やめようと思って
今日頑張るのです。

今日の頑張りがすごければすごいほど
仕事の素晴らしさに気づくのです。

■そんなことを,レジ打ちの彼女から
教えてもらいました。
******************************
ハタ コンサルタント株式会社 降籏達生 氏
がんばれ建設,活かせISO
~建設業,ISO専門の業績アップの秘策~  より
**************************************************************
あるレジ打ちの女性/「涙の数だけ大きくなれる」木下晴弘著
彼女の涙の意味するものは。・・・
仕事だって楽しいことばかりではありません。
でも辛いことばかりだけでもないのです。
不平不満を言うのはたやすい。
でもその現状を打破するのは自分しかいない。
頑張っていれば、認めてくれる。
与えれば与えた分以上に返ってくるものなのです。
あることをきっかけに少しだけ自分で気づき、
意識することなく知らない間にそれを実践していた彼女は
今度は周りから気づかされ、あふれる涙を抑えることが出来なかった。
何度流しても良い涙ですね。


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Posted by kobay at 08:00│Comments(15)うるうる
この記事へのコメント
すばらしい話をありがとうございます!
自分に足りないものを少し気づかせてもらいました・・・
Posted by ゆたかゆたか at 2008年12月05日 08:41
本日も拝読させていただきました。
いつも覗き見だけで申し訳ありませんが、楽しみにしています。
今日の記事には、「ハッ」としました。
Posted by shiju-kara at 2008年12月05日 12:26
コメントありがとうございます。

<ゆたかさん>
ゆたかさん 気づくことは大切です。
人間、気づいてから行動するものです。
ゆたかさんは、自分に足りないのではなく、出していないだけですよ~。

<shiju-karaさん>
いつもくだらないブログお読み頂き、誠にありがとうございます。(笑)これからもお願いします。
この話を聞いてshiju-karaさんは自分の身に置き換えられたわけですね。
人の話を聞いて自分に置き換えられる人もその人の実力で、普通は感動したで終わってしまいます。
さらに実践できる人こそ本物だと、このメルマガ発行者は述べています。
その通りだと思います。
ワタシ?自分ではなかなか・・・(爆)
Posted by kobaykobay at 2008年12月05日 13:06
不覚にも(笑)
会社でコレを読みながら泣いてしまいました。
こういう展開はズルいなぁ(←何が)

心に留めておきます。
良い仕事しなきゃ、だな~。
Posted by まつおかまつおか at 2008年12月05日 13:45
感動しました はい!
私も最近ちょっと仕事に迷いがあって・・
考えていたんです。
でも 一生懸命頑張る事が大切なんですね
慢心は一番良くない!
Posted by もりひめもりひめ at 2008年12月05日 14:57
いい話をありがとうございます。 

最近の新聞に出ていた、あくゆうさんの

“夢は砕けて夢と知り  愛は破れて愛と知り  時は流れて時と知り  友は別れて友と知り”

にも感銘しました。

HPいつも楽しみにしています。
Posted by ながの at 2008年12月05日 22:44
原点の大切さを認識させてくれる、
素敵な話ですね。
果たして、自分の仕事ではどうか、
何ができるか、
いざとなると難しいものです。
地道な努力!しかないですかね?
Posted by れっくれっく at 2008年12月06日 02:52
コメントありがとうございます。

<まつおかさん>
同じ気持ちを共有できると言うことは素晴らしいですね。
ワタシもこのメルマガ読んだときは
目頭が熱くなりました。
片意地張らず頑張りましょう!!

<もりひめさん>
ワタシの勝手なイメージで もりひめさんは
がむしゃらに突き進むタイプかと・・(笑)
自分が満足いくガンバリはいくらでもしても良いと思います。

<ながのさん>
いつもご覧頂きありがとうございます。
飲んだ、食ったばかりじゃなく たまにはこういうのも・・(笑)
なかなか重みのあるお言葉ですね。
ちょっと悲しい感じがします。

<れっくさん>
何をするにも仕事に差はないと言う事ですかね。
仕事の打ち込み度に差はあれど。
ましてやいろいろ考えて行動するのと
漠然と動いているのとでは雲泥の差がありますよ。
何が出来るか・・考える・・大切なことだと思います。
Posted by kobaykobay at 2008年12月06日 09:38
本当にうるうるきました。
昔の自分を振り返ると…
明るい未来につながることがあるんですね。
そうそう。私は保育園の時なりたいものが
「おかあさん」でした。
とりあえず達成できました^^ 
古いアルバムひらいてみたくなりました。
 ありがとうございます。
Posted by まんぼう at 2008年12月06日 12:14
コメントありがとうございます。

<まんぼうさん>
将来なりたいのが、 「おかあさん」
まんぼうさんの母上がとても素晴らしい方なんだとわかる言葉ですね。
今はまんぼうさんが、それを実践されておられるのでしょうね。
Posted by kobaykobay at 2008年12月06日 17:34
ど~も、こんにちは
一生懸命な人には必ずご褒美が来ると思います。
決して無駄な我慢はないってことでしょうかね。
Posted by ティガーティガー at 2008年12月07日 16:08
コメントありがとうございます。

<ティガーさん>
見返りを求めず与え続けると言う事でしょう。
また 我慢 非常に大切なことだと考えます。
Posted by kobaykobay at 2008年12月08日 07:31
kobbyさん、大変こころに落ちる話題を提供してくださり、有難う御座います。私、ちょうど、仕事に行き詰まっていまして…身を退こうかと下を向いてばかりいる日々です。ですが、このお話を読ませて頂き、少しヒントを感じとる事が出来ました。
このお話の主人公の彼女はきっと、"失敗に弱い"方であったのかも知れません。社会人にもなると、成功体験を重ねていき、また、それを良しとし追い求めていきます。反比例して失敗体験は良くない事、としてなるべく避けようと考えがちです。この主人公の彼女は、昔の自分のピアノの練習での“失敗しつつも前進する”姿をイメージできたことが救いであったな、と読み取りました。私も、仕事に於いて極力、失敗を避け、成功ばかり追い求めていることに気づかされました。現実はそんなに甘くなく、失敗も多々あり大きく失望し、職を投げてしまおうとも考えていました。
が、この話から、向上心さえあれば、失敗は、更に前に進むためのエネルギーになりうるんだと感心しました。長文になってしまいましたが、私はそう思い、また明日から頑張ろうと決意したのです。有難う御座います!!kobbyさん!
Posted by たろさ at 2008年12月22日 01:11
もとい、kobbyではなく、kobayさんでした。失礼しました!
Posted by たろさ at 2008年12月22日 01:15
コメントありがとうございます。

<たろささん>
ワタシはただこういったモノがありますよ と紹介しただけに過ぎません。
人それぞれ感じることはいろいろで、
ただ感動したで終わらず、自分の身に置き換え、
さらにその方向性を見いだしたたろささんがスゴイのです。
たろささんのお話を読み、深くワタシも感激しました。
よく言われていることですが、失敗なくして、成功などあり得ないわけで、
やりもしないで、ただ逃げ回っているだけでは、結果は残せませんよね。
確かに難しいことですが、それは人が決めていることではなく、
全て自分で決めていることですもの。
どうにでも出来るんです。

ワタシとすればたろささんの何かのきっかけになったと聞いただけでもウレシイ事でした。
向上心 イイ言葉です。頑張って下さい。
Posted by kobaykobay at 2008年12月22日 08:18
 
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